次なるステップに向かって歩みだそう

HNK会長  田玉治實(長野高専・機械工学科1963年入学)


 

2002年からのメッセージ

10年前の「赤とんぼ」第6号(2002年7月) 巻頭言を読み返して

 高専を巡る技術者の集まりに思惟して、もう10年が過ぎようとしています。設立趣意書を読み返せば、21世紀の扉を前にして解を探し出そうという朋の姿が映っています。


 そこではこう語っています。「この会は全国の高専出身者によって自主的に運営され、まずはじめに地域ごとの集まりを日常不断の付き合いの中から育て、更に研修会・懇親会等を各地で計画し、それぞれをパソコンネットワークでつなぎ、相互に連携を持ちながら、高専を交えた中地域・全国規模の研究会発表会・交流会等を通して人の輪を広げていくことにより、孤立した技術者からグローバルの意識を持った技術者集団への脱皮を計ろう」


 こう書かれるまでには、敢えて信州から江戸を目前にした川越への佐久間旅館出張会議を皮切りに、3回の合宿と設立総会での議論及び3分科会の討論を重ねています。そうして6年を経過して考えてみると、設立趣意書に書かれたことは全て実現しているが、書かれていないことは何一つ創造されていません。最近、シックスシグマや創造工学が脚光を浴びていますが、この手法の原点は「みんなで集まって話す」ところにあります。


 「みんなで集まって話す」ことで、集団の問題が浮き彫りにされ、やがて解決の方向を探り当てる事が出来る。私達はそれを趣意書に残すことで、参加する者へのメッセージにしたのです。改めて読み返してみると、この流れが容易にできたことではないことが判ります。


 混沌の時代にあって、私達はヒューマンネットワーク高専の運営の経験から、古くて全く新しい手法を学ぶと同時に、最初に立てた目標が達成に近づいていることに気づかされます。


 グローバルな意識を持った技術者集団となるために「何ができるか?いま何をしなければいけないのか?社会は何を求めているだろうか?」集まって話すところから始めましょう。


(2002年7月)